信州Well-being有識者対談インタビュー Vol.3 斉藤 忠政さん
今回対談するのはInternational School of Nagano代表栗林と、長野県松本を代表する旅館『明神館』を運営する扉グループ代表の齊藤忠政さんです。対談インタビューでは ”地域のWell-being” と “世界水準” をテーマにお話していただきました。
栗林:
斉藤さんは沢山の地元に貢献した事業をされてると思いますが、今の役職につかれてから何かレベルアップされたことはありますか。
齊藤さん:
コロナが流行したここ3、4年は特に大きな変化がありました。
コロナがあったことにより次のステージであるサステナブルの意識により一層触れられたからです。
僕たちは2003年からサステナブルの方向にシフトして活動し始めて、2007年には環境に配慮した宿泊施設に与えられる国際的なエコラベル「グリーンキー」を日本で初めて取得しました。
”持続可能な観光”がこれからのベースになるので、地元の野菜を使うのは当たり前ですし、
家具なども基本的に地元のものを使用しています。
コストは1.5倍になったりしましたが、地元の大切な文化を残すためにも意識して取り組んでいます。
栗林:
そうなんですね。
スクールでも、これから生徒たちに提供する給食を地元の無農薬のものを地産地消で提供できるよう体制を整えて行きたいと思っています。持続可能性を考えると、これからの担い手がなくなってしまわないよう、若手にも入ってもらえるようなカッコいいものにしていかなくてはいけないですね。
斉藤さん:
国内の漁業や農業などはどんどん人口が減少してきていることも問題ですし、私たちも普段何気なく口にしているものが、どこからどうやって作られたのか、トレーサビリティーを意識している人は少ないと思います。
僕たちが使っているものは8割が地元のものです。
農家さん達と対等に繋がってちゃんとした適正価格で購入するようにしています。
安く仕入れようとしてしまうとどうしても質が落ちてしまったり、農薬を使用するようになってしまったり、、、。
ちゃんとした適正価格で購入することは当たり前の事ですし地域の経済を回して価値があることをしっかり認知してもらうことで次の担い手が生まれると思います。
僕たちは地域にいさせてもらっている立場なので、観光業をやる前に地域の人が輝いて、住む人が楽しく過ごせるよう、利益を還元できる仕組みなどを作って地域をデザインして行きます。
栗林:
今スクールの中学部の子達が、パーマカルチャー(永続可能な循環型の農業をもとに、人と自然がともに豊かになるような関係性を築いていくためのデザイン手法)に興味を持っていて、今年は国内にあるビレッジを見て学んで、自分たちで五常キャンパスのある四賀村に
ビレッジを作るプロジェクトをしようとしています。
トレーサビリティーを知ることで再生・持続・共存の意識はより高まりますね。
斉藤:
五条キャンパスのある四賀はゆうきの里ですしね、いい取り組みですね!
長野県は、奇跡的にできたアルプスの恵みから、水が里山に下って、田畑や大地を潤わして、そこに文化が生まれて集団的な考えが生まれて。
それこそがバリューです。
観光でも、そのバリューをしっかり理解して組み立てないとサステナビリティーにはならないですし、作られた嘘のものになってしまいます。
信州らしいウエルネスリゾートを世界にどう発信するのかがこれからの鍵になります。
栗林:
まずは私たちが何を持っているのかを私たち自身が理解することから始まりますよね。
奇跡が集まったこの場所が現代でも荒らされる事なく、保っていくことが大切ですね。
まずできる取り組みとして、学校給食でも地域の食育を進めていきたいです。関心を持って地域のものを食べる循環が出来れば、地域全体の水準が上がると思います。
斉藤:
地域の食を知ることは、地域を知ることになります。
これからを担う子供達には、「誰がどうやってどの時期にどこで作ってるの?」という問いかけから保護者と一緒に食を中心に地域をもっと知って行って欲しいですね。
ー 企業紹介 ー
扉グループ
株式会社明神館・シックスセンス株式会社
扉グループは、松本生まれ松本育ちの企業として、松本のより良いものを上手く組み合わせて、地域と一緒にブランディングし、それを地域と一緒に世界に発信していくことが価値であると捉えています