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対談 国際バカロレア日本大使 坪谷ニュウエル郁子

「インターナショナルスクールの生徒は日本語が弱い」と言われるのを聞いたことがあります。それがなぜなのか不思議でした。純日本人の生徒がほとんど在籍しない、東京インターナショナルスクール。その理事長の他、株式会社東京インターナショナルグループ代表取締役、NPOインターナショナルセカンダリースクール理事長、世界で生きる教育推進支援財団理事長、国際バカロレア日本大使を務める、坪谷ニュウエル郁子さんに、現在の取り組み、インターナショナルスクールの生徒の悩みなどをお話しいただきました。

 

東京インターナショナルスクールの生徒が抱える悩み

栗林(以下ISN):今どんなことをされているか教えてください。

 

国際バカロレア日本大使 坪谷ニュウエル郁子(以下坪谷): 本業?それとも社会活動の方?

 

ISN:本業の方から教えてください。

 

坪谷:株式会社は代表取締役、学校法人やNPO、社団法人は理事長という形で活動をしています。東京インターナショナルスクールは男女共学の小中学校。来ている子どもの国籍は毎年50から60か国。ハーフ等で日本国籍を持っている生徒は15%位。日本以外の国籍を持っているのは95%位。日本の滞在期間は3年から4年。1年に100人の子どもが入れ代わり立ち代わりする学校です。この子たちには大変深い悩みがあって、国内の転勤族の様に、実家やふるさとが思いつかない場合が多くある。先日スクールにいたとき、「僕の一番嫌いな質問は”Where are you from?(出身は?)”」と言っている生徒がいました。父親はイギリス人で母親はオーストラリア人の生徒が、「質問されて、”I’m from Vietnam(僕の出身はベトナム。).”って答えたら僕が嘘をついているかのように言われた。僕は一番仲のいい友達がいるのは日本に来る前にいたベトナムだからそう答えたのに。」と言うのです。その前は香港にいたらしいけれど幼少期であまり覚えていないそう。学生の時はビザの心配もいらないし、’お客さん’でいられるけれど、卒業して仕事が見つからなければワーキングビザもおりない。そこで「自分のパスポートってどこから出ているんだろう」と考えるようになる。生まれた国にいるおじいちゃんおばあちゃんにあまり会いに行かないし。そういうところが東京インターナショナルスクールにはある。

 

ISN:おじいちゃんおばあちゃんのお家には、たまにでも帰りますよね?

 

坪谷:そうですね。でも例えばお父さん方のおじいちゃんがブラジルに住んでいてお母さん方の家族がチリに住んでいるとかで、帰りにくかったりする。その男の子は大学院を卒業して、香港で働くと言っていました。「なんで香港に?」と聞くと香港に小学校高学年から高校はじめまで6年間住んでいたことがあって、信頼する仲間がいるからって言っていました。彼はブラジルでもチリでもなく香港を選んだけれども、香港でビザが取れるかは別問題。

 

ISN:多くの場合、生まれ育つ土地で幼少/児童期を過ごすことが出来、ISNの生徒は幸せだと思います。

 

日本の基礎学力、生活を含む学び

坪谷:東京インターナショナルスクールを運営していく間に、発達障害の高校生に出会い、40人しか入らない小さい1件屋で、発達障害と学習障害の中高生のための学校。21か国の子供達がいて、男の子は7から8割。世界でも男の子が圧倒的に多い傾向。

 

ISN:そうなんですね。

 

坪谷:日本はこれだけの人口で、基礎学力が高い。タクシーでおつり間違えないですね。電車や飛行機でも、読み終わった雑誌や新聞を「お読みになります?」って渡せられますね。その人が当然”読める”と思って渡すのです。果たして私が海外に行った時にそれをするかしら。していないです。日本の位置も知らず、アジアはひとまとまりに考えられていたりする。

 

ISN:日本の基礎学力づくりは、アメリカによりフレームが作られ、大量生産が上手になりました。識字率が上がり、言われたことは皆がある程度一定の水準で出来る、というのがノームでした。坪谷さんは国際バカロレアをされて、これからは個性をみていこうというのが教育の改革だと思います。

 

坪谷:日本の教育は利他性を見つけます。相手の事を瞬時に見抜く力。学校の教育の中で学力、貧富問わず、掃除、給食が教育の一部として入っている。

 

ISN:平等である観念がありますね。

 

坪谷:海外では階級社会があり、掃除はメイドの仕事という観念がある。日本そんな感覚がないですね。日本の家庭訪問は、国によってはプライバシーの侵害だともとらえられる。学校は教育の場であって、家庭のあり方まで干渉する必要はないと考えられますね。これまでヨーロッパ、アメリカからの影響を求めてきたけれど、これからの世代はコミュニティー中心の社会に変えていけば世界は平和になるんじゃないかと思います。日本人のような考え方が世界に広がれば、私はもっと平和になるんじゃないかなと。欧米は問題があると戦おうとしますよね。「自立」も強く求められがちだけれど、社会で完全に自立して生きている人はいません。

 

ISN:皆誰かに頼っていますね。

 

坪谷:皆誰かに頼っています。お母さんから生まれ、空気に頼り…

 

ISN:自然にも頼って生きていますね。

 

坪谷:電気の供給も、ダムを管理している人がいるからこそ。いろんな教育があるうち日本が弱いのは、自信がないこと。日本の8割の高校生は自分はダメな人間だと思っているという統計がありました。1985年私がお寺で小さく学校を始めたころ、全ての命には意味がある事に気が付来ました。一つ好きな事、得意な事で輝くことが出来れば社会貢献もできるかもしれない。もう一つ日本人が弱いと思うのは、発信力。良いものを作るけれど、外に向かって発信できない。

 

ISN:日本人が英語に弱いことで、本人の自信につながらなかったり、また発信の方法もわからなかったりしますね。

 

坪谷:言語の習得には、その言語にどれだけ接しているかによります。日常会話が話せるようになるには3,000時間弱。教授言語として、大学などで学習に使うには5,000から6,000時間くらい英語で学習していなければならない。逆に英語に接して、学ぶ意識があれば、日本語習得の様に皆身につきます。言語のみについて言うと、2020年東京オリンピックでは、4,5か国の人達が集まった時に機械で同時通訳することもできるようになっているかもしれない。150年ほどでしょうか、最近はアメリカが強い、その前はイギリスが強かった歴史があり、英語は一番強い言語でした。フランス語、スペイン語、ポルトガル語が強い時代もありました。トルコ、ギリシア文明反映の言語もありました。どの国が一番権力を持っているかによるので、英語が300年後に栄えているかはわからないですね。英語英語と言われていますが、言語にとらわれすぎ無いことが大切だと思います。日本で得られる学びはとても素晴らしいものがあります。

 

ISN:「日本人らしい国際人へ」、はISNが掲げている言葉です。

 

 

男女平等と役割

坪谷:私は思秋期、女性としてコンプレックスを持っていました。日本海外にとらわれず、男の子は可愛くてぶりっ子の女の子が好きですよね。男の子はフットボール、女の子はチアガールの様に。

 

ISN:男の子が自分よりも強い女の子にあこがれるのは不思議な光景でしょうか?

 

坪谷:恐らくね。アメリカ人は、女の子は強くてもいいけれど、自分よりも強いのは嫌がられますね。

 

ISN:同等はどうでしょうか。

 

坪谷:同等も嫌ね。自分よりもちょっと弱いというのが男の人から期待されることでしょう。

 

ISN:歴史をさかのぼって、どの国でもその傾向はありました。今では女性が団体や国のリーダーになったり、役職に着いたり…。

 

坪谷:男女平等の価値観が国民の隅々まであまりないかなと感じるのは北欧ですね。

 

ISN:そこ(のお話)に行きたかったです(笑)。北欧ですと出産後、どちらが育休とる?という話が当たり前だったり、女性だけに家事を任せることが、とても古い認識がある。

 

坪谷:小さい国でないとなかなかできないからね。そこは価値観が全然違うと思います。アメリカの場合は、お金中心。

 

ISN:それが「幸せの価値観」ですね。

 

坪谷:ヨーロッパは名誉が価値観の上位に来ます。階級志向もそう。北欧の場合は仕事はあくまでも1日6時間自分の能力を効率よく使ってという意識がある。私たちの学校でも北欧以外の国々は大体お父さんが駐在で来ます。北欧の人はお母さんの駐在の場合が半分くらい。

 

ISN:私自身、日本で不平等に扱われたことが無いながら、「男女の立場が平等に近い社会」というものに憧れを持つのですが、どう思われますか?

 

坪谷:そうね、私は30何年こういう生活にどっぷりつかっているので、あこがれも何も感じない。

 

ISN:北欧の国々は、それはそれで機能している社会なんだな、という見解でしょうか。

 

坪谷:北欧の国ではお父さんがPTAをしている場合もあり、それが普通で、違和感がないしあこがれもしないですね。

 

ISN:私は投資銀行で働いていた経験もあり、例えば投資会社外国人の会長さんと、「30年前の日本の銀行役職には女性がいなかったし、今もいない」という話をし、改めて他の国との違いを知ります。

 

坪谷:男女の価値観、育て方、環境も含めて、知らず知らずのうちに、男の子へは青の服、女の子へはピンクの服なんて事を自然としてしまっています。お子さんいます?

 

ISN:男の子2人です。もちろん女の子でも良かったですけど、私は男っぽい性格で、毎朝三つ編みしてあげることに自信がないので、寝ぐせのままでスクールに送り出せて楽だなあとありがたく思っています。男だからって、これもそうですね。しかしISNの女の子たちで、「私は女の子だから」って表現をする子があまりいない気がします。価値観が養われるのに、家庭の環境も大きいですね。

 

坪谷:家庭の環境は大きいですね。ハリウッド映画、ディズニーのお話でも、男と女の役割があり、社会全体が決めたことになっている。

 

ISN:文化になってしまっていますね。

 

坪谷:そうですね。それを変えることはとても時間がかかる事ですね。生物学的に、自分にないものを持っている人に魅かれバランスの良い遺伝子を残す働きがあり、相手を選んでいますね。

 

ISN:私自身が「こうあれば良いな」と思うものが万人に共通する事はないであろうし、また万人に共通してしまったら個性がなくなり面白くなくなってしまいます。

 

坪谷:Heでも Sheでもなく Itを目指すようになってしまうかもしれない。これから受精に頼らず、人工知能で子どもを育てることが出来るようになるかもしれない。

 

ISN:人工知能でテストされている赤ちゃんに、人間の様に「学ぶ機能」が備わることが出来そうな仮説があるニュースを読みました。

 

坪谷:その時代になったら社会通念は変わっているかもしれないですね。

 

インターナショナルスクール:高い日本語の力が必要とされない環境

坪谷:世界各地で転勤が多い生徒が占める東京インターナショナルスクールの生徒達にとって、日本語を学ぶ事は優先順位の上位ではありません。そんな環境に参加したいと思っている日本人の家庭には、小学校5年生くらいまでは日本語で学ぶことが出来る学校に通うことをお勧めします。日本の文化と全く異なり、東京インターナショナルスクールで皆で掃除するとなると、親が皆大反対です。

 

ISN:共通するのが給食で、好き嫌いなく何でも食べさせたいというのはISN日本人保育士の考え方。しかし国が違えば食べたいものを食べる個人の選択、人権ととらえる先生もいる。そのために、「ISNはこうしていく」というスクールポリシーがあります。

 

坪谷:日本語の文字は非常に難しいので、日本で暮らしていきたい生徒は、新聞の簡単な文字くらいは読めるようにしないと。東京インターナショナルスクールの外国籍の生徒に日本で労働ビザが出て、希望の仕事に巡り合えるか。10人中9人は無理です。東京インターナショナルスクールの子供達は全く日本語が強くない。

 

ISN: ISNの改革的な点は、日本人、外国人生徒問わず、日本文化の環境、共通の理解が松本の地で確立している事です。日本文化の良い点悪い点を踏まえ、アイデンティティーの土台は大切です。ISNでは日本の小学校指導要領の学び方も行われています。国語、算数、社会、理科などの暗記中心の学びは、私の中ではじめ抵抗がありましたが、日本の他の学校ではこういう学び方をしているという「文化」としてとらえようと気が付きました。先日の(株)良品計画代表取締役会長金井さんの話にもみられるように、日本の学校は「良い国作ろう鎌倉幕府」みないな暗記の仕方をしているんだよ、という、善し悪しの理解も含めて。

 

坪谷:どの言語で学びが行われるかは大事です。東京インターナショナルスクールの場合、日本語対応が出来ないので、日本人の入学希望者には、小学校高学年以降、日本人の弱いところを補う目的で、学童に来てくださいとお勧めします。自分を好きになる事と、発信力を強めるために。

 

ISN:小学校高学年から、週数時間では目標が「英語習得」は望みにくい。その一方、「自分を好きになる事と、発信力を強める」目標であれば興味を持ってもらえるかもしれませんね。

 

坪谷:7時までやっていますが、最低週に3日間は来てもらうように言っています。私の本業はこれです。これまでお母さんという仕事に徹底、下の娘が高校を卒業し、これまでしたかった社会活動を始めました。そのうちの一つは日本の教育に国際バカロレア導入。仕掛けたのは2008年。2013年にIBアジア太平洋地区の委員になり、バカロレア機構と日本政府の間のリアゾンなりました。2013年3月に同意書をかわし、6月に閣議決定、委員会を開いて、IB200校という目標が設定された。ISNはそのうちの1校という位置づけです。

 

公立高校DP導入の課題

坪谷:IB機構の人間と、文科省の役人と一緒に九州に入った時のお話です。九州各県の教育委員会の皆様と国立大学の方々が集まり、国際バカロレアはこういうプログラムですと(説明する会がありました)。私のライフワークの一つで、教育格差を経済格差にしてはいけないというのがあって、「是非公立の学校で無料で国際バカロレアを導入してください」という話をしました。いろんなところに行って話をしています。ある県の方に、「うちの県でもやりたいが、国際バカロレアは個人負担のお金がありますから…。」と言われました。なんだろうと思うと、DPの卒業試験が一人約$850、日本円にして訳10万円かかる事。私の学校はDPやっていなかったから、気が付きませんでした。私が気が付かないまま、閣議決定して「どうしよう」と、とても悩みました。政府に、「低収入の家庭は、国から支給してもらえないか。」お願いしました。バカロレアは「それはあなたの国の問題」とみなす。仕方なく作ったのは、「世界で生きる教育推進支援財団」。過去4年間家庭の収入が300万円以下の場合全額、400万円以下の場合半額、卒業試験代を私が出しています。年間1万円の給付金を募ったり、本を書いた時の印税や雑誌に書いたり講演会費を当てたりしていますが、私がこの活動をする時間もなく、これは大変です。これから学校の数が増えるので、来年は無理かもしれません。

 

ISN:支払いが出来ないと、DP卒業できない生徒が出てきてしまいますね。

 

坪谷:最後の卒業試験のスコアで大学に入るのです。支払いが出来ないと授業も受けられません。

 

ISN:学校単位で全員を保証することが出来なければなりませんね。

 

坪谷:現在はその学校の中で、支払が出来る希望者のみがDPを取っています。

 

ISN:特別科みたいなものがあるのですね。

 

坪谷:そうです。全員に機会が与えられない事が非常に心苦しく、私がはじめにそのことを考えなかったからだと自分を責めたりしました。低所得の子供にも、このような教育が受けられる様に支援される体制を整えられたらいいなと思っています。今は該当者が何十人程度なので賄えていますが、私には十分な力とお金がありません。来年から参加する国立大学付属の高校は、生徒数の半数が、そういった貧困の子供達であることを聞きました。「坪谷さん、どうぞ宜しくお願いいします」と先生から言われても、私は「どうしよう…。」となるわけです。

 

ISN:参加校が増えれば増えるほど、そういった生徒の人数が増えますね。

 

坪谷:そうなんです。この3月から日本大使というタイトルになりましたが、バカロレアから支給があるわけではない。団体からのお金の支給はお断りしています。その人が私のボスになるわけでしょう。自分が正しいと思うことを意見できるように、バカロレアのポジションでいくらもらえる、というのはしたくないです。バカロレアには、裕福な家庭のみが質の高い教育を受けられる文化がある。10万円くらい「払えないなら、学校で寄付金募ればいい」程度の話です。日本の教育委員化もその辺りの事情を知らないので、伝えていかなくてはならない。

 

支援教育と英語教育

一昨年、内閣府の教育再生実行会議の委員をさせていただきました。私の学校の発達障害、学習障害のある生徒一人に対し、個別指導が必要。一人の生徒に対し一人の先生が必要であることを話しました。この生徒達にどんな能力があるかを見出して、高等教育から大学まで繋げる学校、93%大学に進学しています。日本に発達障害児は63万1千人いるとされています。日本の学校では、そういう子どもたちを個別で対応するようにはなっていません。

 

ISN:特別学級がありますね。

 

坪谷:特別学級は知的に遅れがあるか、もしくは身体的に障害がある生徒が対象。発達障害、学習障害のある生徒は知的に障害があるわけでは無いです。発達障害は社会性に問題がある。例えば社交辞令で「また会おうね」というと、予定帳を取り出して、「いつどこで待ち合わせをしますか?」と解釈し、決めないと気が済まなかったり。学習障害は鏡文字で読めなかったり、数の概念が分からなかったり。そういう生徒に対しては、非常に個別にやっていけば良いだけの問題です。

 

日本の公立小学校の数は、2万校、中学校1万校、高校5千校。それぞれの学校に最低1人支援教育の先生を配置することをしなけば、その子たちは幸せになれないし、社会に出たときお荷物になってしまう可能性がある。去年運動し、今年財務省の予算に要求し、10年間で8千人小中学校に導入する予算取りを頑張りました。今年の4月から800人、来年も350人程という形で10年間増え続けます。

 

英語は語学の習得に時間がかかるので、付け焼刃ではどうにもなりません。しかし、地方で今のままで子供達に英語を身につけるには無理がある。地方格差を教育格差にしてはいけない。提言させていただいているのは、ISNのような立派な先生たちが集まる所などに協力をお願いし、過疎地、地方の特に小学校に英語が堪能な人材を送ること。おかげさまで12月22日閣議決定して、来年は1000人来年、3年ほどかけて2500人程送ることが出来たらと思っています。

 

ISN:ALTとどう違うのでしょう。

 

坪谷:ALTは学校に行っても、学校の先生とコミュニケーションが取れない。

 

ISN:知り合いALTの先生達に、つまらないって話を聞きます。

 

坪谷:松本市は教育に理解があり、長野県も昔から教育と、思想に長け、素晴らしいですね。

 

ISN:松本市教育長をはじめ、先見と、理解ある方々に恵まれ、本当にラッキーです。奇跡だと思ってます。

 

坪谷:それは天命だと思います。栗林さんのご努力で、沢山の子供達に素晴らしい影響を与えることが出来た。私も嬉しいです。

 

ISN:ありがとうございます。趣味です(笑)。

 

 

これからの取り組み: 日本の大学と留学生

坪谷:A-levelが世界で増加していますね。

 

ISN:本国イギリスであまり評判が良くないカリキュラムが流行っているのはどうしてだと思いますか?

 

坪谷:A-levelは旧英国植民地で広まり、最終的にイギリスの有名大学を目指す生徒が、価値を見ている。国際バカロレアは英語、フランス語、スペイン語ではじまり、ドイツ語か少し入って、初めて日本語でたくさんの科目が入った。今中国語、アラビア語が少し入ってきている。ケンブリッジは英語のみにこだわりがあります。イギリスの力が弱くなると状況は変わるかもしれませんが、現在はケンブリッジプログラムをしているのは世界で1万校。国際バカロレアの倍あります。IBやA-levelなど、世界のプログラム終了者に、日本の大学の学部からきてもらいたい。例えば中国人の学生は年間500万円の学費を払います。学費は年々上がる。アメリカ、イギリスの大学も年間500万くらいでしょう。

 

ISN:高額なところはそのくらいかかりますね。高校ボーディングスクールもそのくらいです。

 

坪谷:イギリスは外国人留学生の学費で1兆8千万円の収益がある。外貨を獲得する戦略です。日本の大学の支払いは単位ごとではなく、一括です。

 

ISN:イギリス留学生は国内やEUの生徒よりも何倍も学費が高いです。

 

坪谷:単位ごとの支払いの良い点は学費が高いので、働きながら今年はいくつの単位を取ろうと計画でき、落ちたら受けなおす。日本の場合、入ったら年間にかかる学費が決まっている。それと、入ったら必ず卒業させてくれる。是非は別として。そんな国世界中無いです。

 

ISN:楽ですね。

 

坪谷:楽です。それと大学の授業料が安い。国立大学が年間53万円。私立も年間80万から100万。もうひとつは、日本は公共の交通機関が発達しているので車を買わなくてもいい更に650円で定食を食べられる。

 

ISN:あぁー(笑)。

 

坪谷:最大の売りは安全。ミニスカートの女の子が夜10時外を歩いていてもレイプされない。日本の大学が世界に受け入れられるのではないかと、これから3年間IBとA-levelの卒業生の1%という3,800人が日本の大学に来る流れを作りたいと思っている。IBはある程度認知されてきているので、最先端を走り続けることをしなくてもよくなってきたと思っています。他の人が出来るのであれば、その人に任せればいい。

 

ISN:大学のお話ですと、目下のターゲットはアジアの国の生徒達でしょうか。日本の大学の学費の安さのみならずテクノロジーやアニメなど日本文化に対しあこがれを持っている人たちが多いのではと推測します。

 

坪谷:医学や歯学部、日本の国立大学は安い。理工学部、日本は進んでいます。

 

ISN:個人的にはワクワクする未来が見えるような気がします。

 

坪谷:そう?頑張ります(笑)。

 

ISN:そんな優秀な学生たちが日本に来ることで日本人は、自分たちに足りないものに、身をもってはっと気が付くんでしょうね。そんな留学生の数が増えてきたころに在学する大学生にとっては手遅れかもしれないですが。日本人はより自分らしさを身につけて行かなくてはならない。小さい子供達は出来ることから、将来に備えたいですね。国連での自国の立場や責任、世界との教育水準の差などほとんどの日本人は知りません。大学に入ってみたら、半分が外国人留学生になる現場ではあたふたしながら準備が進むのでしょう。

 

また、日本の大学に、それだけの優秀な生徒が集まるだけの魅力は必要ですね。安かろう悪かろうに、本人も両親も学費を払いことはないでしょう。大学で英語で学ぶ環境が整えられていないのは時間のかかる課題です。

 

坪谷:法改正が必要かもしれない。出来る事からひとつづつ。

 

 

国際バカロレアの魅力

ISN:坪谷さんにとってIBの魅力とは?

 

坪谷:IBは「どうやって学んでいくのか」を学びます。教えてもらっているだけでは成長できません。MYPか終わったころ、何が好き、何が得意、自分はどう社会に貢献出来るかと思考できるようになる。有名大学に行きたいから、何学部でもいいなんて子供は生まれません。DPしかとらないと、そうなっちゃう。

 

ISN:そうですね。目の前の大学の事しか頭にないから、そこがゴールになってしまいがちです。

 

坪谷:PYP, MYPの子たちはそうなりません。あるおばあちゃん子の女の子が、おばあちゃんにメイクをしてあげたら喜んだので、お友達をみんな呼んで皆にしてあげたら、大好評だった。賢い子でOxbridgeに行けるけれど、お年寄り専用のメイクアップアーティストで自分の道を歩むことを決め、活躍している。これが好きだからこれを通して、社会を良くしていきたいという。それを自分で決めるのです。日本では「うちの娘は慶応大学なら何学部でもいいんです。」とか。「偏差値がいくつだから入れる大学と各部は…」とか。それは違いますよね。

 

ISN:計画を立てて、実行して、振り返ってもっと良くしようとして、という循環が身についてしまうプログラムですね。書いてあることをやるんじゃない。失敗しちゃったよ、じゃあ次どうしようか、と転換できる。挫折にならない。幼少の時期から人間形成が出来ている子どもたちはどれだけ幸せで強いか。EQ(エモーショナルインテリジェンス)の世界です。花屋になりたくで、私絶対花屋になるから、と思う熱望の心と、この職業に就きなさいと言われたときのやる気の無さ。

 

坪谷:職業を変えたいときも、方向転換が上手です。新しい道を選ぶことが出来ることを知っている。

 

ISN:それもOKと受け入れてくれる社会に育てられている。環境は大きいです。

 

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