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ISN×企業 Vol.7

信州Well-being有識者対談インタビュー Vol.7 菊地 徹さん

今回対談するのはInternational School of Nagano代表栗林と、松本市議会議員 兼 株式会社 栞日 代表取締役の菊地 徹さんです。対談インタビューでは”地域のWell-being”と”世界水準”のテーマでお話ししていただきます。

栗林:

今どんな活動をされていて、それに至った経緯などを教えてください。

菊池さん:

栞日という事業の店をやっています。

2013年の夏に私が個人事業として始めた「喫茶店を併設した本屋」いわゆるブックカフェの業態の事業で松本駅前に2013年の8月に開業しました。

ちょうど3周年を迎える年に、今の栞日の店舗に移転してリニューアルしました。

栗林:

カフェと、本屋っていうのはどっちも元々興味があって始められたんですか?

菊池さん:

どちらかというとカフェの方に原点があって、僕が筑波大学生時代、

当時オープンしたばかりのスターバックスでアルバイトをした事がきっかけになっています。

スターバックスのサードプレイスという事業理念に共感して、自分なりのサードプレイスを作りたいと思っていました。その時はどの地域に店を作るのかは決めていなくて、

住んでいた静岡という地域にも愛着はありますが執着はなかったので、この先自分なりのスターバックスを作るにあたって、経験しておきたい業種があったので、それができる修行先を探すと同時にいろんな地域を転々として見ていこうと思いました。

最初に働きたいと思ったのは価格帯の高いサービスというものを勉強したいと思っていたので、ホテルや旅館などの宿泊業で就職活動をしました。

その中で拾ってくださったのが扉温泉明神館で、就職することを決めました。

明神館さんの世界水準のグローバルスタンダードを見据えた経営をローカルでしっかりやっているところに共感しました。2010年に中途採用枠で入社して、そこで今の妻と出会ったこともあって、自分達の店をやろうという事になりました。

それに伴って、次は自分たちのやりたい店の規模の現場、小商やスモールビジネスに転職する事にしました。僕は単身で軽井沢にあるハルタというお店のパン部門で1年間働きました。

その間も彼女に会うために松本にはずっと通っていて、その中で町のスケールや自然との距離感などを知っていきました。

当時僕が26歳で、町で店をやっている先輩方も自分よりひと世代上の方々で、自分たちの表現として多様なお店を展開していて、自由にやらせてもらえる気質なのを感じ取って、松本で自分なりのスターバックスを始めようと決めました。

栗林:

県外から来た人の対外調査じゃないですけど、すごくsubjective(主観的)っていうか。

もともと松本でビジネスを始める為の意図として来たわけではなくて、過ごしているうちに雰囲気や心地よさを見つけてくださったという事ですよね。

菊池さん:

そうですね、最初はまさしくフィーリングで、栞日を始めて5年とか6年が経った時ぐらいから少しずつ当初のそのフィーリングを論理的に説明したり、言語化したりすることが自分でもできるようになりました。いまなら、なぜ当時の菊池が松本という町に対して自分の表現を自由にさせてもらえる気がするみたいなフィーリングを抱いたのか言語化できると思います。

栗林:

ここのお店の場所もそうですよね

ロケーションだったり、インテリアだったり

まさに自分の表現ですよね。

昔からある町並みの良さだったり、あるものを材料にして自分の心地よさや自分のやりたいことをあらわしている様に感じます。

菊池さん:

実際その通りです。

最初の栞日を開ける時も、移転した今の店をやる時も、新築という選択肢は一切なかったです。

将来自分なりのスタバを作ろうと目標を設定した時から、すでに実践している先輩たちがどういう仕事をしているのか実際に見聞き体験していろんな表現のサンプルを沢山集めないといけないと思いました。

知らず知らずのうちに近しいものを作ってしまってもつまらないし、自分のオリジナルのものがどこにあるのかを確認するためにもそうしていました。

アルバイトをしているときにも筑波や茨城県、北半島、甲信越、東京など行ける範囲内でそこそこの数のカフェを巡りました。

当時はSNSも今ほど普及していなかったので、情報は雑誌などで紹介されているものなどを頼りにしていました。

その中で自分が良いなとか好きだなと思ったところが、おしならべてリノベーションされているものばかりで、古い建物を活かし、古いリユースのものが並んでるところに不思議と安心感を感じました。

栗林:

そうやってたくさんを回って自分の心地よさを探していったんですね。

全国たくさんの場所を巡って、菊池さんに選ばれたのが松本だったんですね。

菊池:

当時26歳のよそ者の自分が松本に来たとき、

自由にのびのびと自分のしたい事をさせてもらえる地域で、ネガティブキャンペーンみたいな事が起きなければ、開業してくれてありがとう一緒に頑張ろうねみたいな空気感もなかったです。

とにかくほっといてくれてた感じですね、僕もほっといて欲しかったのですごくちょうど良いなと思っていました。

それが5年ぐらい経ったタイミングで、地域の敷居が自分の中でぐっと下がったと感じた時がありました。

具体的に何かがあったわけではないですが、地域の皆さんが栞日の店の事であったり、菊池という店主のことを許認してくれたように感じる様になりました。

そのときに分析した松本の地域性は

よそ者に対して程よい距離感で付き合う。

地元の人からちょっかいを出したりしないし、批判もしなければ迎合もしない。

新しいプレイヤーが一定時間を経過した事ができたときに認めてくれる。

そういう町なんだなと思いました。

なぜこの地域性になったかを自分で考えたときに、それは街の地理的な特性と成り立ちだろうと思っています。四方が山に囲まれているけれど、東西南北それぞれから重要な街道が入って来ていて山越えした先にこの街がある。なぜこの街に街道がクロスするかといったら、城があり、そして城下の町が形成されて、商いが盛んになって、商人たちがいろんな街道の商品を取り扱使うからその商品と合わせて、いろんなよそ者が出入りする。

他所から人と物が来るから、いろんな文化が出入りする事になります。

なので、いわゆる異文化というものに対してそもそも耐性がある町なんだと思っています。

それがこの町の日常でありナチュラルな出来事。

外から異質なものが入ってくる事が普通で、それがあるときいなくなるのも普通で、それにいちいち反応していると疲れてしまいますよね。

なのでいい意味で認知察知はしてるけど無反応になっていった。のではないかと考えています。

松本の市街地で何か自分のビジネスなどをやりたい人にとっては、いったんは自由にやらせてくれる町だと思ってます。

栗林:

すごく面白いアナライズですね。

そう考えると、人間性がすごく高いのではと感じます。

いちいち感情的になって怖がったり興味示したりするのではなく、認知はするけどもちょっかいを出さないっていうのは何かを始めたい人にとってはいい部分もあるのかもしれませんね。

結構ファーストトライで自由にやらせてくれて、うまくいかなければ他のところに行っても良いよと。

ファーストトライで失敗したとしても、地域の人は気にしない、良い経験ができる町。

菊池さんから経験を踏まえたそういう話が聞けてよかったです。

今回はありがとうございました。

ー紹介ー

松本市議会議員[一期・無所属・佳風]

株式会社 栞日

栞の日と書いて、sioribiと読みます。

栞の日。それは、流れ続ける毎日に、そっと栞を差す日のこと。
あってもなくても構わないけれど、あったら嬉しい日々の句読点。
さざ波立っていた心が凪いで、ふっと笑顔が咲くような。

今日が、あなたの栞日になりますように。

〒390-0815 長野県松本市深志3-7-8
TEL | 0263-50-5967
営業時間 | 7:00-20:00
定休日 | 水曜日

HP |https://sioribi.jp/