
信州Well-being有識者対談インタビュー Vol.16
今回は呉本八恵子(声楽家)さんと金鎭城(自営業)さんのお2人にお話しを伺いました。
栗林:いつも五常キャンパスにいる栗林です。よろしくお願いします。
本日はお母様とお父様のお2人にインタビューをさせていただきありがとうございます。
呉本さん:呉本です。今年からお世話になっています。よろしくお願いします。
栗林:今日お話を聞かせていただけるのは、どちらの…両方のお話でしょうか。
質問の内容がざっくりと2つありまして、ウェルビーイングということに関してどう思われますかということと、もう一つはISNに何を期待されていますかという質問でございます。一つ目のウェルビーイングですが、私たちが定義し考えているウェルビーイングとは、自分自身と周りの人たちの豊かさだと思っております。ウェルビーイングは聞いたことがありますでしょうか。
呉本さん:日本のウェルビーイングでしょうか。生活/ライフのウェルビーイングは聞いたことがあります。ウェルビーイングは自然と自分や人の健康のイメージ、健康とか自分自身のイメージがあります。
栗林:ウェルビーイングとは心身のことで、身体もそうですしメンタルもそうですし、とにかくバランスが良い状態など、いろいろ解釈があると思います。ウェルビーイングという言葉が最初に出てきたのは国連で、ウェルビーイングを目指していこうという内容が規約のようなところに出てきました。今、私たちが使うのは、あくまでも自分自身の心身ともに豊かさという意味でございます。ぜひご自身のお仕事についてご説明いただきながら、自分にとって、また周りにとって、という観点でお話を聞かせてください。
呉本さん:私は音楽をやっておりまして、声楽なのですが、いろいろなところで歌う機会や教える機会があります。初めて対面する方や初めて会う方とも、歌や音楽を通して心と心のつながりができることがあります。歌を聴いていただいて涙を流される方もいて、きっと何かを感じてくださっているのだと思います。それはすごく素晴らしいことだと思っています。英語もそうですけれど、音楽もコミュニケーションのツールとして捉えております。
今のウェルビーイングのことで考えますと、私自身も苦労しながら自分の歌をトレーニングする中で、自分自身も幸せを感じつつ、それを外に出すことでまた全然違う感覚を得ることができます。また相手の方も何かを感じてくださるという、その流れが私はすごく素晴らしいことだと思い、楽しみながら音楽をやっております。
栗林:レッスンを受けたいと思いました!!1回2回で変わるわけではないですが、継続的にぜひお話を聞きたいです。
呉本さん:レッスンに来られる大人の方で、歌いながら涙を流す方がいらっしゃいます。私は何かを言ったわけではないのですが、きっと中から出てくるもの、何か自分の中で感じるものがあるようで、そういうのも良いセラピーのような力があると思って普段仕事をしております。
栗林:お一人お一人、表現の仕方や音程の合わせ方が違っていて、すごく探求されるのだと思います。探したり練習したりして「こっちの方がいいな」とか、生活の調整や気分なども含め、やればやるほど深掘れていくように感じられるのではないかとお話を伺っていて思いました。
呉本さん:基礎的な細かいことだけをやっていると勉強だけになってしまうのですが、それも取り入れつつ、自分で調節しつつ、聞いたものを外に出すという循環を作っていけるのがとても楽しいです。健康にもつながると思っています。
栗林:教えているお子さんは何歳から可能なのですか。
呉本さん:もともと0歳からのクラスをやっておりまして、一番上の方は80代の方までいらっしゃいました。Music Togetherというアメリカのプログラムで、リトミックも混ざりつつ、アメリカ人作曲家の方が作った曲を使い、いろいろなアプローチでその曲を楽しみます。ママとの触れ合いもありますし、ダンスや楽器も使います。ただ「学ぶ」のではなく、とにかく楽しむ、楽しみながら感じる、楽しみながら触れ合うことを大事にするプログラムです。
日本でもリトミックのライセンスを取りましたが、日本ではリズムや拍子など一定のものが多いところ、Music Togetherは世界中の音楽を取り入れ、アフリカ系アメリカ人の曲から日本の「ほたる」まで、幅広く構成されています。
栗林:とても面白そうですね!
そしてお父様は別のお仕事をされているのですか、それとも一緒に取り組まれているのですか。
金さん:インバウンドのゴルフ専門の旅行サービスをしております。ウェルビーイングという意味で言えば、私は100%韓国のインバウンドのお客様を担当しているのですが、韓国のゴルフ場は高いため、日本のきれいなゴルフ場でプレーしたいという方が多く、私がそのプランを作ります。
皆さんの幸せな顔を見ることが私自身の幸せでもあり、大きい意味でウェルビーイングにつながると思っています。こちらに来ておいしいものを食べ、素敵なゴルフ場に行き、「本当に良かった」とお言葉をいただくととても嬉しいです。
今、松本と諏訪でAirbnbのゲストハウスも運営しており、宿泊ライセンスは7年前に取得いたしました。
栗林:ご自身がゴルフ好きだったのですか?
金さん:そうです。家族がみんなゴルフが大好きで、はまって、いろいろなゴルフ場に行き「こういう仕事はいいな」と思っていました。自分で韓国の旅行会社に営業して契約し、現在に至ります。
長野県だけでなく全国に行きます。今は静岡・富士山周辺、箱根、軽井沢がメインです。
栗林:何人くらいのグループを手配されているのですか。
金さん:基本的に4人が一番多いですが、2人もありますし、11月は55人の団体も来ます。基本的には一人で手配しますが、ガイドや運転手などのチームがあります。
栗林:とても成長されていますね!!
金さん:私はゴルフオタクだと思っていまして、自分で調べ、周りのアドバイスをいただきながら進めております。
栗林:それは子どもたちの学びにも通じる、理想的な形ではないでしょうか。自分が好きなことを突き詰め、その中で市場の観点と自分の興味のバランスを取りながら取り組まれているように感じます。
呉本さん:夫は、人と関わることが好きで、人が欲しいものを形にするのが得意なので、良いプランを作れるという自信がありました。
栗林:完全にプロの領域にいらっしゃいますね。とても興味深いです。ありがとうございます。
そういったご経験・バックグラウンドをお持ちのお二人が、子どもたちにとって大切だと思われること、身につけてほしいこと、どのような学びの環境が良いと感じられているのかお聞かせください。
呉本さん:私は最初、英語をきっかけにこの学校を知り、バカロレアの話を伺って、人の違いを認め受け入れるという考え方に魅力を感じました。うちの子は外国人の親を持ち、韓国人として日本で生きていくため、その環境をポジティブに捉え、広い視野で生きてほしいと思いました。
レッスンに来る生徒さんも同じですが、みんな広い視野を持って楽しみながら学ぶことがとても大切だと思います。自由に楽しみながら自然に身につくことができれば素晴らしいと感じています。
教育において「勉強勉強」ではなく、ツールとしてさまざまなことを取り入れ、それを自分の意思を持って発信できることが大切な教育なのではないかと思っています。
栗林:貴重なお話を聞けて嬉しかったです。ありがとうございました。