
信州Well-being有識者対談インタビュー Vol.19
StFlair®DNA栄養学 認定講師 春日啓花さんインタビュー
「才能を育てる前に、その子を知るということ」
栗林:
本日はありがとうございます。まず最初に、現在どのような活動をされているのか教えていただけますか。実は私自身、春日さんが本当に幅広い分野でご活躍されていることは存じ上げていたのですが、その歩みを詳しく伺う機会がなかったので、ぜひお聞かせください。
春日さん:
ありがとうございます。
もともとは国際線の客室乗務員として勤務していました。結婚を機に長野へ移り住んだ際、「これから自分にできることは何だろう」と改めて考えたんです。
やはり自分の強みは英語だと思い、英語教育に関する資格を取得し直して、松本大学で非常勤講師として授業も担当していました。
ただ、大学で働くなかで一つ大きな葛藤がありました。授業の時間は固定されているため、子どもの参観日や学校行事に参加できないことがあったのです。
子どものためにも働きたいと思っていたのに、肝心な場面に立ち会えない。それはどこか本末転倒のように感じました。
そこでフリーランスとして活動することを決意し、英語講師の仕事と並行して動画配信にも挑戦しました。当時はまだ動画発信を仕事にしている人が少ない時代で、1分動画の配信を続けるうちに収益も生まれるようになりました。
しかし続ける中で、「これは本当に自分がやりたいことなのだろうか」と考えるようになったのです。
もともと私は、人に教えることや伝えることが好きでした。
その原点に立ち返ったときに出会ったのが、DNA解析と腸内フローラ解析でした。
現在は、DNA解析や腸内環境のデータを読み解きながら、ダイエットや美容だけでなく、子育てやパートナーシップ、さらには個人の才能開花に活かすためのサポートを行っています。
栗林:
「読み解く」というのは、具体的にはどのようなことなのでしょうか。
春日さん:
DNA解析は唾液から、腸内フローラ解析は便からデータを取得します。
解析結果から、その人がどのような特性を持っているのか、どんな環境で力を発揮しやすいのか、あるいは現在の生活習慣が本来の可能性を十分に引き出せているのかが見えてきます。
たとえば、お子さんが落ち着きがない、感情の起伏が大きい、なかなか話を聞いてくれないといった場合でも、単なる性格の問題ではなく、腸内環境が影響しているケースがあります。
また保護者自身も、「子どもを愛しているのに、なぜこんなに怒ってしまうのだろう」「いつも疲れている」と感じることがありますよね。
そうした背景にも、遺伝的な特性や腸内環境が関係していることがあります。自分の身体の中には、実は多くのヒントが眠っているのです。
もちろん美容や健康のために活用される方もいらっしゃいますが、私自身が最も大きな可能性を感じているのは、子育てへの応用です。
実際に我が子の変化を目の当たりにした経験が、この活動を続ける原動力になっています。
栗林:
ご自身のお子さまの変化が、今のお仕事につながっているのですね。
春日さん:
そうなんです。
以前、学校から学力について心配されるようなお話をいただいたことがありました。
ただ振り返ってみると、その頃の食生活や生活習慣は、その子の体質に本当に合っていたとは言えなかったと思います。
そこでDNAや腸内環境の視点を取り入れながら少しずつ生活を整えていったところ、学校からいただく言葉も変わっていきました。以前は「ここはもう少し頑張りたいですね」というフィードバックが中心でしたが、今では「リーダーシップを発揮しています」「周囲をよく見ています」「大きく成長しています」といった言葉をいただくようになりました。
特別な塾に通わせたわけでもありません。ただ、その子自身を理解し、適切な関わり方を選んだだけです。
その変化を目の当たりにしたことで、「これはもっと多くのご家庭に届ける価値がある」と確信するようになりました。
栗林:
とても興味深いですね。
私たちも教育現場で日々感じているのは、「この子はどんな人なのだろう」という視点の大切さです。年齢や学年で判断するのではなく、一人ひとりの個性や可能性を見つめること。その子らしさを理解し、その子に合った環境を整えていくことが教育の本質だと考えています。
栗林:
私たちが教育現場で大切にしていることの一つに、「この子はこのままで大丈夫なんだ」と子ども自身が感じられる環境づくりがあります。
もちろん、年齢によって身につけるべきスキルはあります。時計が読める、読めない、といったこともその一つです。
ただ、私たちが本当に向き合いたいのは、その子自身の可能性です。
「何ができないか」ではなく、
「何に心を動かされるのか」
「どんなことに夢中になるのか」を見つめていく。
そうすると、その子に合った環境や機会を自然と用意したくなるんです。サイエンスが好きな子には探究できる環境を、本が好きな子には読書に没頭できる環境を。
子どもたちは一人ひとり異なるからこそ、その違いに合わせた学びが必要だと考えています。
一方で、子どもの成長は学校だけで完結するものでもありません。ご家庭だからこそできる関わり方もある。そういう意味で、春日さんが取り組まれているお仕事には非常に興味を持ちました。
春日さん:
ありがとうございます。
振り返ってみると、私は昔から「分析すること」よりも、「読み解くこと」が好きだったのかもしれません。目の前にある情報やデータから、その人自身もまだ気づいていない可能性を見つけ出すことに魅力を感じるんです。
客室乗務員時代もそうでした。同じ内容をお伝えするにしても、「この方にはこう伝えた方が届くな」「この方ならこういう言葉の方が安心されるな」と自然に考えていました。
今の仕事も本質的には同じなのかもしれません。DNA解析や腸内フローラ解析から見えてくる情報を読み解き、その方に合った形でお伝えする。そこに大きなやりがいを感じています。
近年はDNA解析も広く知られるようになりましたが、一方で注意も必要だと思っています。DNAは究極の個人情報です。だからこそ、価格だけで選ぶのではなく、どのようにデータが管理されているのか、どのような基準で解析されているのかを見極めることも大切です。
正しく活用すれば、本当に多くのことが見えてきます。身体のことだけではありません。子どもの特性や学び方、家族との関わり方まで、多くのヒントがそこには含まれています。
だからこそ私は、この分野が教育とも深くつながっていると感じているんです。子どもが本来持っている力を100%発揮できる状態をつくること。それは教育の本質とも重なるテーマだと思います。
実際、我が家でもその変化を感じています。
以前と比べて先生方からいただく言葉も変わりましたし、何より本人がとても楽しそうなんです。
小学校中学年頃になると、人との関わり方にも大きな変化が見られますよね。
誰かが少し変わった行動をしたとしても、「あの子は変わっている」ではなく、「そういう一面もあるよね」と受け止められるようになる。
私はそれをとても成熟した関係性だと思っています。
栗林:
人を受け止める余白があるんですね。
その余白があるからこそ、人は自分で気づき、考え、成長していけるのだと思います。
春日さん:
私もそう思います。
そうした姿を見ていると、「自立とは、こういうことなのかもしれない」と感じるんです。
栗林:
家でも学校でも、一人の人間として尊重されることは、とても大切なことですよね。
「こうあるべき」という型に当てはめるのではなく、「あなたはあなたでいい」「あなたらしさには価値がある」そう伝えてもらえる経験は、その後の人生を大きく支えるものになると思っています。
子どもは周囲に認められることで自信をつけていきますが、その根底にあるのは「自分らしくいていい」という安心感だと思うんです。それをご家庭でもサポートしていただいて感謝しかありません。
春日さん:
今はDNA解析や腸内環境の知見を子育てにも活かせる時代になりました。私たち親世代にはなかった選択肢です。だからこそ、活用できるものは上手に活用しながら、子どもたちがより自分らしく成長できる環境を整えていきたいと思っています。
そしてISN卒業後の姿を見ていても、その価値を実感します。かつては「日本の学校に進学したときに馴染めるだろうか」と心配したこともありました。
しかし実際には、自分の意見を持ちながらも相手を尊重し、必要に応じて引くこともできる。ISNでは何度も人前で話す練習があったので、今も人前での発表などにも臆することがありません。
栗林:
少人数の環境の中で、さまざまな人と向き合いながら積み重ねてきた経験が、確かな土台になっているのだと思います。


「夢は後から見つかってもいい、ウェルビーイングと『選択肢を持つ力』を育てる教育」
栗林:
春日さんがお話しされる「ウェルビーイング」という言葉は、現在取り組まれている活動とどのようにつながっているのでしょうか。
春日さん:
私にとってウェルビーイングは、「自分が自分らしくいられる状態」と深く関係しています。
私は福岡で育ち、その後東京で客室乗務員として働いていました。そして結婚を機に松本へ移り住んだのですが、その頃は本当に自分自身を見失いかけていました。
知り合いもほとんどいない土地での子育て。産後ということもあり、それまで誇りを持って続けてきた仕事からも離れていました。
働こうと思えば働ける。生活にも困っていない。それでも心のどこかで、「私自身の人生とは何だろう」という問いを抱えていたんです。
自分が何者なのか分からなくなってしまった時期でした。
その頃から英語の勉強を始めたり、さまざまな分野に触れたりしながら、「自分だからできること」を探し続けていました。
そして辿り着いたのが、今取り組んでいるDNA解析や栄養学、そして情報発信の活動です。
当時は今ほどSNSで発信することが一般的ではありませんでした。地方で顔を出して活動することに対して、理解されないこともありました。
それでも続けてこられたのは、自分自身が心から面白いと思えたからです。
そして、その活動が誰かの役に立ち、子どもたちの未来にもつながっていると感じられたからです。
私にとってのウェルビーイングとは、自分だけが満たされている状態ではありません。
自分が好きなことに夢中になり、それが社会や家族の役に立ち、その結果として周囲も幸せになっていく。そんな循環の中にいることだと思っています。
栗林:
ご自身で見つけられた今の活動は、まさに春日さんらしい選択ですね。
春日さん:
そうかもしれません。英語も大好きでしたし、実際に長く学んできました。
でも英語の世界で勝負するよりも、自分が自然体でいられる分野を見つけたかったんです。
子どもたちをインターナショナルスクールに通わせた理由の一つもそこにあります。私は英語を後から学んだ世代なので、どうしても頭の中で文法を組み立てながら話してしまう部分があります。一方で子どもたちは、最初から英語が生活の一部として存在しています。
その環境があることで、将来使える選択肢が大きく広がると思っています。
だからこそ私は、自分自身は別のフィールドで価値を生み出したいと思いました。
栗林:
100人中100人に理解されることを目指すより、自分が心から面白いと思えることを深く掘り下げる。そのほうが結果として社会に価値を提供できることもあると思うんです。
好きなことを見つけた人には敵わない。
春日さん:これは本当にそう思います。だから子どもたちにも伝えたいんです。
夢を早く見つけられたら素晴らしい。でも、もし今見つかっていなくても全く問題ない。
学び続けていれば、後からいくらでも選択肢は広がるからです。
栗林:
そのお話を聞いていると、私自身にも重なる部分があります。
春日さん:
そうなんですか。
栗林:
実はISNを始めた当初は、今のような形を描いていたわけではありませんでした。帰国後、自分の子どもを預けられる環境がなく、本当に困っていたんです。仕事を探しても預け先がない。預け先が見つかっても通えない。
そんな状況の中で、「それなら自分で作ろう」と思ったのが始まりでした。
地域の親子と出会い、小さな活動を始めたことが、やがて今のISNにつながっていきました。
今は教育の可能性を広げるために、多くの方々と対話を重ねています。
保護者の皆さまの声を聞き、地域とつながり、未来の子どもたちのためにどんな環境が必要なのかを考える。
それが今の私の役割だと思っています。

「自分らしく生きる力を育む、多様性と自己表現が根づく学びの環境」
栗林:
子どもに求める学びや生活環境については、どのようなイメージをお持ちですか。学校だけでなく、自然環境なども含めて教えてください。
春日さん:
子どもにとって、学校で過ごす時間は家族と過ごす時間以上に長いものですよね。だからこそ、その時間の中でどれだけ個性や才能を磨けるか。そして、自分とは異なる価値観や正義を持つ人たちと共に過ごしながら、調整力を身につけられるかがとても大切だと思っています。
社会に出れば、自分と同じ考えの人ばかりではありません。だからこそ、幼い頃から多様な考え方に触れながら、自分自身の軸を育てていくことが必要だと感じています。もちろん、楽しいことだけでは成長できません。時には苦手なことや、自分とは異なる意見に向き合う経験も必要です。
そして、それがまさにISNにあったと感じています。
例えばISNのShow & Tellは、その象徴的な取り組みだと思います。自分の好きなものについて話す。一見するとシンプルな活動ですが、実はとても奥深いものです。
一般的には「自慢しているように見える」と受け取られることもあるかもしれません。でも私は、その考え方自体が少しもったいないと思っています。
人はそれぞれ違うものを持っています。
ある子が持っていないものを別の子が持っていて、その逆もある。それは当たり前のことです。
だからこそ、「違い」を比較するのではなく、「その子らしさ」として認め合う経験が大切だと思います。最初は小さな発表でも、やがてグループ発表になり、ステージでのプレゼンテーションへとつながっていく。
その過程で、「人前で話すことは楽しい」という感覚が自然と身についていくんです。
現在娘が通っている中学校でも発表の機会はたくさんありますが、ISNで積み重ねてきた経験があるからこそ、ごく自然に楽しみながら取り組めています。
求めていた教育と、ISNが提供している教育が非常に近かったのだと思います。
栗林:
先ほどのお話の中で、「負荷がかかることにも挑戦する」という考え方がとても印象的でした。
私たちも単に「やってみよう」と促すだけではなく、「なぜ嫌なんだろう?」「そこから何が得られるんだろう?」という問いを大切にしています。
どこが嫌なんだろう?
何が不安なんだろう?逆に、それを乗り越えたら何が得られるんだろう?そうした対話を通じて、自分自身で答えを見つけていく。
「どうしたら気づけるだろう」
「どんな質問をしたら、その子自身の答えにたどり着けるだろう」
そんなことを日常的に考えている大人たちに囲まれて育つ子どもたちは、本当に恵まれていると思います。
春日さん:
息子は長い髪が好きで、バンダナやターバンを巻くことがあります。一般的には、「少し変わっているね」と言われても不思議ではありません。
でもISNでは違いました。先生方も友達も、「かっこいいね」「似合っているね」と自然に受け止めてくれるんです。
もちろん、全員が同じ意見というわけではありません。でも大切なのは、さまざまな意見が存在すること。そのうえで、「自分はどうしたいのか」を考えられる環境があることだと思うんです。
周囲に合わせるために変えるのか。それとも自分らしさとして続けるのか。その選択を自分自身で考えられる。そして好きなことを続けるためには、守るべきルールや責任もあることを学んでいく。
これは単なる自由ではなく、自立につながる経験だと思っています。
人と違うことを恐れず、自分の感性を大切にできる。その一方で、社会とのバランスも学んでいく。その両方を自然に身につけられる環境が、とても貴重だと思います。
栗林:
15年後、20年後に振り返ったとき、「小学生の頃、ずっとバンダナを巻いていたんだよ」と笑いながら話せる経験は、きっと人生の財産になりますよね。
春日さん:
本当にそう思います。そうした小さな挑戦の積み重ねが、自分らしく生きる力につながっていくのだと思います。
そして、ISNには学力だけでは人を評価しない空気があります。
例えば漢字が少し苦手だったとしても、それだけで「この子はできない」という見方にはなりません。
英語教育に多くの時間を使っている以上、日本語に触れる時間が一般的な学校とは違うのは当然です。
だから私は、その部分は後から十分に補えると思っています。
それよりも今しか育てられない力がある。
自分の意見を持つこと。
人前で伝えること。
違いを受け入れること。
そうした力の方が、長い人生の中でははるかに大きな価値になると感じています。
栗林:
実は以前保護者の方とお話しした際に、「将来の選択肢を広げるためにも日本語力は大切だ」というご意見をいただいたことがありました。
私自身、そのお話を伺ってすぐに日本語担当の教員と話し合いました。そして短期間のうちに教員チーム全体で方向性を共有し、日本語学習支援を強化していく体制づくりを進めました。
英語だけでなく、日本語も同じように伸ばしていく。
その両立が、これからの時代には必要だと考えています。
春日さん:
これからISNの卒業生たちがそれぞれの場所で活躍し、「ISNで学んだから今の自分がある」そう語ってくれる人が増えていけば、それが何よりの学校の価値になるのではないでしょうか。
そして、一人でも多くの子どもたちがこの環境で学び続けられることを願っています。
栗林:
ありがとうございます。本日は、お子さまたちの成長のお話だけでなく、教育に対する深い価値観まで共有していただきました。
私たち自身も改めて大切なことを考える機会になりました。
本当にありがとうございました。